富士山の伏流水を使った「天祥庵(てんしょうあん)」の手打ち蕎麦!
今回は、毎年、夏になると食べたくなる蕎麦の話をしましょう♪
それは「天祥庵(てんしょうあん)」の辛味大根を使った”おろし蕎麦”!
じつは、この天祥庵こそ、蕎麦っこめぐりの”第2弾”で紹介した一茶庵の創始者、友蕎子(ゆうきょうし)片倉康夫氏の愛弟子、天野さんが営んでいる蕎麦屋である。
天祥庵は富士山の麓、”忍野八海(おしのはっかい)”のすぐ近くに店を構えている。
忍野八海といえば、”名水100選”でも知られる人気の観光スポットだ。
富士山が世界文化遺産に登録されてからは、ますます有名になり、観光客も増えている。
忍野八海周辺は富士山の伏流水を使った蕎麦屋が数多く点在しており、天祥庵も敷地内に井戸を掘り、富士山の伏流水を汲み上げて美味しい蕎麦を打っている。
■ 店内の雰囲気 ~ 古民家を改装した森の中の蕎麦屋さん
天祥庵の店構えは、”茅葺き屋根の古民家”で、
青々と生い茂る緑の中に佇んでおり、じつに趣きのある建物だ。
富士山麓の木材を使って建てられており、
風になびく暖簾は、周りの木々の色に馴染み、穏やかな印象である。
ここをはじめて訪れる人は、
店に入る前から期待に胸をふくらませ、ワクワクするに違いない。
私もはじめて訪れた時は、そうであった♪
今では、毎年ここへ来ることが「夏のイベント」になっている。
■ 蕎麦前 ~ 「ぜひ食べてほしい!」縁起のいい富士山のかまぼこ
さて、蕎麦を食べる前に
定例になっている”蕎麦前”を愉しもうではないか♪
〇赤富士蒲鉾と珍味揚げ
お店のメニューにあれば、私は必ず「板わさ」を注文している。
天祥庵の板わさは、めずらしい富士山の蒲鉾(かまぼこ)だ。
それも「縁起のいい赤富士」である。
この蒲鉾(かまぼこ)は、まるで「金太郎アメ」のように、どこを切っても、
ず~っと”夕焼けの富士山”が続いている。
色鮮やかな見た目だけでなく、味も極上~♪
新鮮な魚(グチやイトヨリ)で作られていて、甘みがあってウマい。
続いて「珍味揚げ」のお味はというと、
表面を軽く炙っていて香ばしく、野菜の食感がシャキシャキと残っていて、
お醤油をつけずに食べても美味しい。
好みによるが、私はそのまま食べたいタチだ。
お醬油をつけない方が素材の味(魚と野菜の旨味)を堪能できる。
味を変えて、ワサビはちょっとつけてみた。
この2つをネットで調べたら、どちらも、小田原蒲鉾の老舗「籠淸(かごせい)」から、わざわざ取り寄せているようだ。これは旨いはずだ。
スタートから酒がすすむ~♪
〇ぶっかけの薬味
「ぶっかけ」蕎麦の薬味は酒のつまみにもなる。
皿にのっている”しゃもじ”は、天祥庵の「秘伝の焼き味噌」である。
辛過ぎず、まろやかな旨さで、
これがまた”酒のアテ”になって最高なのだ♪
薬味と一緒に少し残しておかねばならないが、
蕎麦がくる前に”焼き味噌”がなくなっても心配はいらない。
後から単品で追加注文できる!
■ 日本酒 ~ 初体験!手打ち蕎麦と「にごり酒」の相性はいいのか?
天祥庵の日本酒のラインナップは、
純米吟醸、純米大吟醸、あつかん、にごり酒の4種類あって、私が選んだのは
長野県の遠藤酒造場の秘蔵酒のにごり酒、「渓流どむろく」である!
にごり酒は甘酒のように、
結構、甘いのかなぁ?と想像してしまう。
が、しかし…
想像していたような”甘ったるい”感じはなく、
やや酸味のある甘さで「シュワシュワ~」っと、微発泡で爽やか!!
夏にピッタリのお酒であった♪
蕎麦との相性もよし。
■ 手打ち蕎麦 ~ 天祥庵の名物!「ぶっかけ蕎麦」と「辛味大根のおろし蕎麦」
にごり酒と蕎麦前を愉しんでいたところに、ようやく主役の登場である!
さあ、薬味たちの出番がまわってきた。
〇ぶっかけ(ぶっかけ蕎麦)
細打ちの二八そばの上に、
自家栽培の薬味(ねぎとみょうが、大葉、なめこ、きくらげ、胡麻)と
しゃもじに塗られた焼き味噌を好みでのせて、
蕎麦つゆを”ぶっかけて”いただく。
で、あるが…
私は恒例となっている我流の食べ方をする。
豪快に”ぶっかける”のは、その後のお楽しみ!
- 「1口目」は蕎麦を”そのまま”食べる
- 「2口目」は”塩を一つまみ”振りかけて食べる
- 「3口目」は”蕎麦つゆ”で食べる
一通り蕎麦をいただいた後は、
薬味をたっぷりとのせ、蕎麦つゆをぶっかけて食べる。
見た目も「贅沢なぶっかけ蕎麦」に早変わりする。
もちろん、味も絶品である♪
自家栽培の野菜を使った”こだわりの薬味”と”秘伝の焼き味噌”が
蕎麦の味を引き立たせ最高の味になる。
さすが”人気のメニュー”である!
〇おろし(おろし蕎麦)
続いて、本日のお目当ての蕎麦!
”おろし蕎麦”に添えられている辛味大根の辛さは、
今まで食べ歩いた蕎麦屋の中でダントツ1位!
涙が出るほど、超辛~い!!
もう何年も通っているが、、、いまだに
この辛さを超える蕎麦屋さんに巡り会ったことがない。
辛味大根おろしの辛さは”天祥庵がナンバーワン”である!
蕎麦には”辛味大根おろし”と一緒にたっぷりの”なめこ”がのせられている。
これまた、コリコリと弾力あり、つるんとした食感で
近所の食品スーパーで売っている”なめこ”と違い、味が濃くて美味しい!
自家栽培の”なめこ”と”ねぎ”を混ぜ合わせて
”辛味大根おろし”の量を調節しながら、蕎麦つゆをかけて食べる。
なみだ目になりながら味わうのも一興。
窓越しに緑を眺め、ピリリと辛い蕎麦をすすり、
目と舌で夏を満喫する♪…(体感している)
■ 蕎麦湯 ~ 一茶庵本店と似ているサラサラ蕎麦湯
今回は写真を撮り損ねてしまったが、
天祥庵も一茶庵本店の蕎麦湯に似ていて、
少し白濁としているがサラリとしたタイプである。
この日も酒のチェイサーとして蕎麦湯をいただいた。
次回は”残った焼き味噌”を蕎麦湯に溶いて飲んでみようと思っている。
来年の夏、もう一つ楽しみが増えた♪
■ まとめ
天祥庵の手打ち蕎麦は、一茶庵本店の二八そばより、少し太く感じたが
まぎれもなく、一茶庵から受け継がれた味だった。
1代目店主『天野正美さん(片倉氏の愛弟子)』は
栃木県足利市の一茶庵本店で修業に励んだ後に天祥庵を開業し、開業後も休みの日を使って栃木県まで習いに行きながら、腕を磨いたという。
ご子息の2代目店主『天野洋介さん』も同じように、一茶庵本店へ修業に行っている。
一茶庵の「蕎麦打ちの技術」と「蕎麦へのこだわり」は、
父から子へ、子から孫へ、脈々と受け継がれているのが感じられる。
また、天祥庵の”地産地消”のこだわりは、地元の活性化に貢献しているに違いない。
富士山の麓という最高のロケーションで”こだわりの手打ち蕎麦”を味わってほしい♪
〇おまけ
店内には”ちょっとしたお土産”も用意されている。
季節によって、その時期にとれた果物や野菜が販売されている。
ちなみに、私が行った時は「桃」が売っていた。
お蕎麦を食べた後、
帰り際にお土産をのぞいてみてはどうか。
旬のものが手に入るかもしれない。
店舗情報
山梨県南都留郡忍野村忍草2848-2
TEL 0555-84-4119
第3水曜日(臨時休業あり)
11:00~16:00
※売り切れ次第終了
※8月は無休で営業