オリベに行こう!二宮の閑静な住宅街で「蕎麦前」を愉しむひととき
今回は、私のお気に入り”関東Best5”に入る蕎麦屋『オリベ』さんの話をしましょう。
はじめてオリベを訪れた時に注文したのは「鴨せいろ」だった。
当時は”鴨せいろ”にハマっていて、行く先々の蕎麦屋で食べていた。
オリベの鴨せいろは食べた瞬間、
”鴨肉の柔らかさ”と”出汁の深み”にいたく感銘を受けた。
オリベの店主は「懐石料理や割烹系の経験者」に違いないと…感じた。
案の定、日本料理出身の店主であった!
若かりし頃は、茶懐石(茶事に出される懐石料理)で修業を積み、名店で腕を磨き、東京の麹町で割烹料理を営んでいたという。
そんな日本料理を極めた方が蕎麦職人に転向したのだ。
スタートの蕎麦前から楽しみだ♪
■ 店内の雰囲気 ~ 「これホンモノですか?」焼き物に目を奪われる!
まずは『オリベ』という店名が気になるだろう。
私も蕎麦屋にしては「めずらしい名前だなぁ」と気になったが、
暖簾をくぐって、すぐにわかった。
店に入ると、”織部焼”があった。
私も大好きな焼き物だ。
店主は尊敬する茶人「古田織部(ふるたおりべ)」の名をとって店名にしたのだろう。
店内にはお茶席のような「茶花(ちゃばな)」と陶芸家の皿や花器が飾られている。
窓際には3体の動物たち(鳥やサイ)が鎮座している。
それがなんとも愛らしい~♪
■ 蕎麦前 ~ ゆっくり味わいたい懐石料理を思わせる一品!
まずは”お楽しみの蕎麦前”といこう♪
今回、酒の肴に選んだのは3品。
- 蕎麦の実入りゴマ豆腐
- そばみそ(焼き味噌)
- 蕎麦ひろうす揚げ出し豆腐
〇蕎麦の実入りゴマ豆腐
胡麻どうふは”ねっとり”した滑らかさと”やさしい味”、
それに”つぶつぶ”とした食感がする。
口の中で「僕ここにいるよ!」と主張してくるほど存在感がある。
〇そばみそ
さすが料理を引き立たせる織部焼。
深緑の釉薬にそばみそ(焼き味噌)がよく映えている。
オリベの”そばみそ”は、
焼いた”味噌の香ばしさ”と蕎麦の実の食感と”やさしい甘み”がある。
酒とのマリアージュが格別だ♪
〇蕎麦ひろうす揚げ出し豆腐
オリベのメニューには「ひろうす」と書いてあるが、地域によって他に、”ひりょうず”や”ひりゅうす”と呼ばれている。
”ひろうす”は、豆腐をすり潰し、ニンジンや根野菜や胡麻を混ぜ、油で揚げたものだ。
簡単にいえば、”自家製がんもどき”のようなものである。
オリベの「ひろうす」は、表面は”カリッ”として、中は”ふんわり”して旨い。
蕎麦や野菜の食感が残る、なんとも”贅沢ながんもどき”である♪
■ 日本酒 ~ 夏酒はウマい!季節の酒は必ず頼むべし
”蕎麦前”のおかけで酒を飲むピッチが上がってしまった♪
今回、注文した酒はこの2銘柄。
〇春鹿(はるしか)
最初に注文したのは、奈良県の日本酒「春鹿(はるしか)」である。
この酒は春日大社「春」と神の使いである「鹿」から名付けられた、
”縁起の良いお酒”である。
「春鹿」は穏やかな香りに、まろみと旨みがある。
”シャープ”で”キレのある辛口”の酒だ。冷でも燗でも両方いける。
食中酒にピッタリだ!
個人的に蕎麦屋に常備してほしい”安定のお酒”である。
〇久礼(くれ)
2合目に注文したのは、高知県の日本酒「久礼(くれ)」である。
高知県最古の造り酒屋「西岡酒造」のお酒だ。
西岡酒造はカツオがたくさん水揚げされる町で有名な土佐町久礼にある。
なんだか、刺身も食べたくなってしまう。
さて、お味の方はというと…
”メロンのような爽やかな香り”とみずみずしい旨味。
さすが夏酒~♪
ガツンと力強さがあるが、
”爽快なキレ味”でスイスイと飲んでしまう”危険な酒”である。
■手打ち蕎麦 ~ 一茶庵系を匂わせる変わり蕎麦「柚子きり」の味!
さあ、メインの蕎麦をいただこう!
店内の壁には蕎麦の産地が紙に書いて貼ってある。
当日の蕎麦は「信州産」と書いてあった。
産地は時期により”北海道”や”秋田”、”群馬”などに変わる。
各地の”美味しい蕎麦”を楽しめるのは嬉しい♪
〇ハモと野菜の天せいろ
この時期、旬の魚「鱧(はも)」の天ぷらがあるではないか。
迷わず『ハモと野菜の天せいろ』にした♪
蕎麦は「せいろ」、「田舎」、「白雪」、「柚子きり」の4種類から1つ選べるという。
- せいろ(二八そば)
- 田舎(殻付きで挽いたそば)
- 白雪(さらしなの別名)
- 柚子きり(柚子の変わり蕎麦)
私は「柚子きり」を選んだ。
一茶庵本店で食べた”芥子きり蕎麦”を食べて以来、変わり蕎麦が好きになり、柚子きりを食べてみたくなった。
柚子を練り込んだ変わり蕎麦の上に、”柚子の皮”を削っている。
見た目もじつに美しい、まるで、”お化粧でもしている”みたいだ。
蕎麦をたぐり、口に含むと、”柚子の爽やかな香り”が口いっぱいに広がって鼻に抜け、食感は見た目の繊細さとは違い、弾力があって旨い。
けして香りだけではない!
続いて「ハモの天ぷら」はというと、衣は”サックっと”軽くて、中のハモは”ふんわり”と柔らかい。脂がのった身は、厚みがあって食べ応えがある。
産卵前のハモは栄養を蓄えて脂がのっている。夏が旬のハモであるだが、
じつは、”ハモの旬は2回”ある。冬眠前の晩秋(10月~11月)も栄養を蓄えて美味しいという。
そちらも食べてみたいものだ♪
〇三色せいろ
『三色せいろ』のラインナップは、
左から順番に「田舎」、「白雪」、「せいろ」である。
ここで気になるのは、真ん中の「白雪」だろう。
これは蕎麦屋の系列によって、”さらしな”の呼び名が違うからだ。
”雪のように白い”蕎麦。
一茶庵系の蕎麦屋では、”さらしな”を「白雪」と呼んでいる。
「田舎」は、3つの中で一番、蕎麦の香りが強く、太めに切ってある。
つぶつぶ感は弱く、ザラつきもなく、なめらかな食感だ。
「白雪」は、その名の通り見た目も清楚で美しく、細切りでありながら弾力もある。
食感はツルツルと一番滑らかだ。
「せいろ」は、細切りの二八そば。
蕎麦の香りと苦みのバランスがよく、食感も滑らかである。
オリベの蕎麦つゆは、甘すぎず、すっきりとした辛口だ。
辛口といっても、しょっぱい訳ではなく、”鰹だしの味が濃い”のである。
鰹と昆布の旨みが凝縮している感じが舌に伝わってくる。
蕎麦つゆにつけて、”ズルズルッ~”とすするなら、この「せいろ」が一番合うと思った♪
■蕎麦湯 ~ 「極上の蕎麦つゆ」を心おきなくに堪能しよう!
蕎麦湯はサラリとしたタイプである。
いつもサラサラ系の蕎麦湯は酒のチェイサーとして飲むことが多いが、
”蕎麦つゆ”の味に魅せられてしまい、蕎麦湯を割って”じっくり味わいたい”と思った。
”極上の蕎麦つゆ”を余すことなく飲み干してきた♪
■まとめ
二宮の閑静な住宅街には、
日本料理を極めた蕎麦職人が営む素晴らしい店がある。
「オリベ」という名前に負けないほど、”美味しい料理”と”蕎麦”を食べさせてくれる。
オリベは地元の常連客だけでなく、
遠方から通うファンがいるほど愛される蕎麦屋さんである。
私もそのひとりである♪
焼き物が好きな方は、ぜひ「オリベ」を訪ねてほしい。
〇おまけ
蕎麦屋にはめずらしい「鯛焼き飯」があって、私も一度、食べてみたいと思っている♪
事前に予約すると「蕎麦懐石」がいただける。
店舗情報
オリベ
神奈川県中郡二宮町百合が丘1丁目1-2
TEL 0463-73-3881
定休日 木曜日
営業時間 11:00~14:00 17:00~19:00
(蕎麦なくなり次第営業終了)